

WHAT
千葉県館山市の海沿いにある貸別荘に設置されたEV充電器の案件です。3棟が並び、最大18人が滞在できます。駐車場には6kWの充電器と3kWのコンセントが、補助金を使って設置されています。宿泊者以外も利用できる公開型の設備です。課金の仕組みは、ドライバーの利用操作に基づくものでした。2026年5月、この充電器の課金を管理していたサービスの終了が発表されました。このような場合、補助金を返還して自社用にするか、別の手段で公開を続けるか、どちらかを選ばなければなりません。公開を続ける場合、市場にある選択肢は概ね3種類です。1. 人が都度対応して施錠・開錠し、集金する。2. 無料で開放する3. 通信制御の設備を入れて、遠隔から管理する。高速道路沿いほどの利用頻度が見込めない立地では、どれも噛み合わないことが多いのが実情です。人が対応すれば、チェックイン時間の外は動けない。無料開放は電気代が出続けます。通信制御は電気工事と機器が必要で、投資回収が長期化します。本案件では、運営会社からサイトオーナーへ後継となるサービスの紹介があり、その中に「wattomo by EV-HooK」が含まれていました。あいはまテラスでは、上記の課題を踏まえて比較検討を行い、導入に至っています。
HOW
電気工事の要らない仕組み
「wattomo by EV-HooK」は、すでに設置されている充電器に、サインとダイヤル施錠ホルダを取り付けて運用します。通信制御の機器を追加しない方式のため、電気工事は発生しません。既存の充電器はそのまま使います。今回、施工を含め、施設側で発生する作業はありませんでした。ドライバーは、サインのQRコードから利用を開始し、終了時に決済します。利用操作に基づく課金であることは、以前と変わりません。変わるのは、操作せずに充電を行ったときに何が起きるかです。利用中かどうかは、マップ上に常時表示されます。「利用可能」と表示されているのに車が停まっていれば、その状態は外から見て分かります。次に充電しに来たドライバーは、現地のQRコードを読み取り、ナンバーを添えて通報できます。施設のスタッフも同じです。管理画面を開く必要はなく、公開されているマップを見れば分かります。清掃や見回りのついでに気づける状態です。もう一つの特徴が、「完全な閉鎖」が可能であることです。クローズに設定した時間帯は、充電ケーブルのコネクタをダイヤル施錠ホルダに収めて施錠します。施設が休館する日は、充電器も閉まります。海沿いの施設には、冬季のメンテナンスや台風による休業があります。あいはまテラスでは、基本を24時間オープンとし、閉業日のみクローズする設定にしています。枠の開閉、料金の確認、施錠番号の登録は、管理画面から行います。曜日や時間帯ごとの繰り返し設定にも対応しています。施錠番号はシステムに登録され、解錠を忘れた場合や緊急時には、運営からドライバーへ番号を通知します。
料金の設定
料金と課金単位は、サイトオーナーが決めます。今回は当初の価格も参考にしつつ、ガソリン車の燃費と比較して決定しました。なお、「EV-HooK」と「wattomo by EV-HooK」に共通した設計は、「EV充電器はガソリンスタンドではなく、モバイルバッテリー型で貸し出す」というものです。EV-HooKでは、燃料補給(通電)に比例して費用が出ますが、同時に、占有時間も課金の対象になる仕組みで、wattomoでもその設計が反映されています。あいはまテラスは宿泊施設なので、最大料金(打ち止め)の上限額を設定しています。宿泊施設では、チェックインからチェックアウトまで車が停まったままになります。コインパーキングに近い考え方で、繋ぎっぱなしでも問題が起こらない設計になっています。
- EV充電器を有料で開放するのに、電気工事は必要ですか。
- 課金の方式によります。通電を遠隔から制御して課金する仕組みでは、制御機器と通信を追加するため、電気工事が必要になります。一方、充電ケーブルの施錠と利用者による開始・終了処理で運用する方式であれば、既設の充電器に部材を取り付けて運用します。wattomo by EV-HooKはこの方式で、電気工事を伴いません。すでに充電器を設置している施設が、利用状況に見合わない設備投資をせずに公開を続ける手段として使われています。

WHY
一般的な課金システム
EV充電の課金システムは、充電器もしくは電源の供給設備と一体で提供されるものが一般的です。課金の方式を変えたければ、充電器ごと入れ替える、もしくは電源の供給側に通信制御装置等を設置することになります。すでに設置された設備をそのまま活かせないことが多いのが実情です。EV-HooKは、この2つを分離しています。充電器や電源設備はそのままに、課金と管理を後付けする。今回もその考え方は変わりません。分離した上で、もう一つの軸があります。利用の可否を、システムが握るかどうかです。EV-HooKは、充電ケーブルを通信で施錠します。プラグが戻されたかどうかを物理的に検知するため、満空表示は正確になります。通電が終わっても、プラグが挿さったままなら「利用中」のままです。そのかわり、施錠の機構と通信、そして電気工事が必要になります。逆に、制御しないタイプも存在します。設備は要りませんが、人の管理もしくは利用者の操作がなければ課金は成立せず、空き状況も分かりません。市場は、この間を埋めていません。各社が向かっているのは機能の上乗せです。より精密に、より多機能に。競争がその方向にしか働いていないため、施設に提示される選択肢は、人が都度対応するか、無料で開放するか、通信制御を入れるか、の3つに寄ります。
高機能が常に最適とは限らない
ここで解くべき問いは、どの制御方式が優れているか、ではありませんでした。高速道路沿いのような利用頻度が見込めない施設における課金システムは、どうあるべきか。これが今回の最適題です。高機能な仕組みは、高い稼働を前提にしています。設備投資を回収できるだけの利用があってはじめて成立する。機能を上乗せするほど、成立に必要な稼働の下限は上がります。充電できる場所を増やしたいのであれば、向きは逆になります。自動販売機が街のあちこちに置かれているのは、1台あたりの売上が低くても成立するからです。高い売上を前提にした機械しかなければ、駅前一等地にしか置けません。
wattomo by EV-HooKの仕組み
この条件から構成したのが「wattomo by EV-HooK」です。二段階の課金、SMS認証、後払いの決済、管理画面からの枠の開閉は、EV-HooKと同じものを使います。異なるのは、施錠を通信で行わない点です。ここが電気工事を必要としていました。施錠は現地のダイヤルが担い、営業時間外を閉じる用途に対応します。満空表示は、物理検知ではなく利用者の操作によるものになります。そして、通信施錠が担っていた「操作せずに使うことを止める」役割は、牽制が引き受けます。操作せずに使えば、その状態が外から見える。ただしこれは、人の目がある時間にしか働きません。だから、目のない時間は閉じます。この2つで、一日を分担します。人の出入りがある施設であることが、この構成の成立条件です。弊社では、EV-HooKを自動販売機、wattomoをシャッターで閉店できる無人販売機と呼んでいます。課金と管理のソフトウェアは共通で、施設の条件に応じて構成が変わります。人の目がない時間帯も含めて24時間公開する場合は、EV-HooKが担当します。宿泊者がいて、スタッフの出入りがある。そして、休館する日がある。もともとが利用操作型での運用だったため、仕組みの前提も変わらない。こういった理由からwattomoをお選び頂きました。
