単なる「コンセント」ではない充電プラグの仕組み
EV充電プラグは、家庭用コンセントとは根本的に異なる仕組みを持っています。最も重要な違いは、電力供給だけでなく、車両との「通信」を行っている点です。
この通信機能により、充電器は車両のバッテリー状態を常時監視し、最適な充電電流や電圧を調整しています。単純に電気を流すだけではなく、安全で効率的な充電を実現するため、充電器と車両間での情報交換が欠かせません。
スマートフォン充電器との共通点
この仕組みは、スマートフォンの充電器と基本的な考え方が共通しています。スマートフォンの場合、USB規格を通じてデータ通信と電力供給を同時に行いますが、EVでも充電と通信を並行して実行する点で類似しています。
スマートフォンでも、充電開始時は高速で充電し、バッテリー残量が増えるにつれて充電速度を調整する仕組みになっています。この仕組みは電動キックボードやEバイクでも同様で、充電器側がバッテリーの状態を管理したり、バッテリー自体に制御基板が組み込まれていたりして、安全な充電を実現しています。
EVも同じ考え方で、バッテリー管理システム(BMS)が充電器と通信しながら、安全で効率的な充電カーブを描いて充電を進めています。規模は大きくなりますが、基本的な仕組みは身近なバッテリー機器と共通しています。

スマートフォンの充電プラグとEV充電器には共通点が多くあります。(Photo by SWANOIR)
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EVの充電の仕組みと充電速度DC充電における通信の重要性
特にDC急速充電では、この通信機能が極めて重要な役割を果たしています。高電圧・大電流を扱うDC充電では、バッテリーの状態を正確に把握し、安全な範囲内で充電を行う必要があります。
充電器は車両のバッテリー管理システムと常時通信を行い、セル温度、電圧、電流値などを監視しながら充電を制御しています。この精密な制御により、安全で効率的な急速充電が実現されています。
充電規格の理解:技術標準の多様性
EV充電規格の多様性は、技術発展の自然な過程として理解できます。異なる地域や技術的アプローチにより、複数の規格が並存している状況です。
NACS(テスラ)は統合的なアプローチを採用し、充電器から車両まで一貫したシステム設計を実現しています。CHAdeMO(日本発)は早期に確立された規格として、特にアジア地域で重要な役割を担っています。CCS(Combined Charging System)は欧州を中心に標準化が進んでおり、ACとDCの統合的な充電方式を特徴としています。

電子デバイスにいくつかの充電のプラグ形状があるのと同じように、EV充電にもいくつかのプラグの形状があります。(Photo by Lucian Alexe on Unsplash)
実用的な観点での規格選択
充電規格の違いは、実用上それほど大きな問題ではありません。車両購入時に対応規格を確認し、充電インフラ選択時にその規格に対応した施設を利用するという流れになります。
多くの充電アプリには規格別の絞り込み機能が搭載されており、対応する充電器を効率的に見つけることができます。また、変換アダプターの利用により、一部の規格間での相互利用も可能になっています。