SWANOIR

2020.4.3

Written By HRK

EV充電工事会社の3つのタイプ

EV(電気自動車)の普及に伴い、自宅での充電環境を整備する方が増えています。EV充電設備の工事を検討する際、業者選びは重要なポイントの一つです。EV充電設備の工事を行う会社には明確な特徴があり、大きく3つのタイプに分類されます。どのタイプを選ぶかによって、対応内容や費用が大きく変わってきます。

EV充電(SWANOIR)

① 一般電気工事系:電気のプロだが、EV特有の技術は発展途上

最も多いのが、従来から住宅の電気工事全般を手がけている会社がEV充電にも対応するパターンです。電気工事の基本技術については十分な実績とノウハウを持っていますので、配線工事、分電盤の増設などの基礎的な電気工事は確実に対応できます。また、地域に根ざした業者で個人経営の会社も多く、きめ細かな対応も特徴です。

一方で、EV充電はスマートフォン充電を大容量にしたようなもので、ケーブルは「通電」と「通信」の両方の機能を持っています。EV充電器はクラウドや車体と細かい通信を行い、それを通電にフィードバックする機能がついていますが、電気工事専業の場合、これらの仕組みや設定に慣れていない可能性があります。

また、「EV」専用の事業者ではないため、EV充電工事の依頼内容そのものを相談することは難しい場合もあります。お客様の具体的な指示に従ってくれる業者さんなので、ご自身が適切な設計ができるなど、具体的な指示を業者に示すことができる方には適しています。

注意すべき点として、比較的小規模な会社が多く、クレジットカードなどを使用できないことが多くあります。また、メーカーのロゴを許可なくWebサイトに掲載している場合は注意が必要です。メーカーのロゴには明確な使用ルールがあり、オフィシャルパートナーほど、ウェブサイトなどでロゴを慎重に使用するのが一般的です。

一般的な電気工事のイメージ

従来の電気工事技術は確かだが、EV特有の新技術への対応は会社によって差があります。(Photo By Sol on Unsplash)

② 太陽光・蓄電池営業系:格安の裏にある本当の目的

近年増えているのが、格安でEV充電工事を提供する業者です。この多くが太陽光発電や蓄電池の営業を本業とする会社です。これらの業者にとって、EV充電工事は「ドアノックツール」、つまり顧客との接点を作るための手段です。EV充電工事自体は薄利、または場合によっては赤字覚悟で提供し、本来の目的である太陽光発電システムや蓄電池の販売などにつなげることを重視している場合もあります。また、協力会社による施工が多く、コールセンターのみの対応で、その会社自体は実際に対応しないことも多いのが特徴です。

メリットとしては工事費用が安く、太陽光発電や蓄電池施工との組み合わせ提案が得意な点があります。一方で、工事完了後に太陽光発電や蓄電池の営業が始まる可能性があります。また、協力会社は①の会社であることも多いため、EV充電設備のトラブル時に専門的な対応が困難な可能性もありえます。

見分け方としては、極端に安い工事費用を提示する、最低限のスペックの工事を強く訴求する、初回訪問時に太陽光発電や蓄電池の話が出る、などの特徴があります。

③ EV専業:充電技術のスペシャリスト

EV充電設備に特化した専門会社も登場し始めています。数はまだ少ないものの、最も安心できるタイプです。メーカーのオフィシャルであることも多く、通信を含めたIoT領域の業種の会社が対応していることが多いのが特徴です。

自宅充電の施工までに公開充電器の無料利用などを準備していることも多く、サービス面でも充実しています。特に海外製品の場合、故障の可能性やマニュアルに記載のない予防措置などの知識が豊富です。EV黎明期から事業に関わっている企業が多く、事例に詳しいのも強みです。

EV特有の特殊な施工方法のバリエーションが多く、自宅への損傷などに詳しく、丁寧な施工が期待できます。また、会社でもEVを多く保有しているなど、EVそのものに詳しいことも多く、車体に関する情報含め総合的に対応可能な場合もあります。関連商品の営業がなく、顧客の利益を最優先に考えた提案と透明性の高い料金体系が特徴です。

一般電気工事系と比べて故障予防の措置が多く施工内容が異なるため、一見料金がやや高く見える場合があります。また、まだ会社数が少なく、地域によってはサービス対象外の場合もあります。

EV専門事業の充電器

EV専業会社は最新技術動向を把握し、長期的・安定的な運用を何よりも重視しています。(Photo By SWANOIR)

どのタイプを選ぶべきか?

ご自身で設計ができるなら一般電気工事系、品質や営業を度外視してとにかく安く済ませたいなら太陽光・蓄電池営業系、EV充電の専門性を重視するならEV専業がおすすめです。業者選びでは以下をチェックポイントとして活用ください。

1.見積もりでは、実際の現場調査後に追加料金が発生することが伏せられていないか

2.アフターサービスでは、トラブル時の対応体制が整っているか

3. 実績の確認では、EV充電工事の実績が十分にあるか

4. 営業スタイルでは、強引な営業や関連商品の押し売りがないか

5. 技術説明では、EV充電の技術的な質問や複数の車種に関連する質問に適切に答えられるか

EV充電工事会社の選択は、単純に価格だけで決めるものではありません。それぞれのタイプには明確な特徴があり、ご自身のニーズと照らし合わせて選ぶことが重要です。長期的な視点で、信頼できるパートナーを選ぶことが、快適なカーライフの第一歩となります。

この記事は2020年4月時点の状況に基づいています。業界の動向は日々変化していますので、最新情報は各業者様や事業者様に直接ご確認ください。