SWANOIR

Viker観光地向けEバイク・シェアリングサービス

THE LUIGNAS. Spa & Resort

どこのホテルのフロントにも必ず置かれている周辺観光案内図。しかし、記載された魅力的なスポットの多くは徒歩では遠く、結局訪問されないまま終わることも多くあるのが実情です。私たちは、この「ホテルの観光案内」をデジタル化し、さらにEバイクという移動手段を統合することで、宿泊客の行動範囲をさらに広げる新サービス「Viker」を開発。THE LUIGANS Spa & Resortで実証実験を行い、宿泊客の満足度向上と新たな付加価値創出に挑戦しています。

# IoT事業部# アプリ開発

PROJECT

Period

2019.Jan ~ 継続中

Our Division

IoT事業部

Special Thanks

VanMoof

Coverage

製品/サービス
事業戦略
Design
設計
戦略立案
Develop
開発
施策立案
Deliver
製造・販売
実行支援
Vikerアプリケーション画面
THE LUIGANSでの実証実験
デジタル観光案内マップ
Vikerのスマートバイク
WHWHOAYWT?!

OVERVIEWS

案件の概要

Vikerは、ホテルの周辺観光案内をデジタル化し、Eバイクと統合したサービスです。従来の紙の観光マップが「見るだけ」だったのに対し、Vikerは「実際に行ける」を実現。スマートフォン1つで観光情報の確認から自転車の解錠、ナビゲーションまで完結します。

将来的には飲食店の予約機能も実装予定で、ホテルを起点とした地域観光のプラットフォームを目指しています。

OUR ROLE

私達の役割

サービスの企画・開発から、アプリケーション開発、ホテルへの導入支援、運営サポートまで一貫して提供しています。現在は、より幅広いホテルで導入可能な新モデルの開発も進めています。

BACKGROUND

案件の背景

福岡の観光は、近年盛り上がりを見せる一方で、課題もあります。ユーロモニター社の世界観光都市ランキングで福岡が順位を落とした理由の一つとして、観光地間の移動手段の不便さが指摘されています。実際、福岡県の観光客の約8割が福岡市・北九州市に集中する一方で、現地では観光スポットが点在することで回遊性が低いという問題を抱えています。

ホテルのフロントスタッフが時間をかけて周辺情報を説明しても、2-3km離れた場所は「タクシーだと高い」「バスは時間が合わない」という理由で諦められてしまう。これは宿泊客の満足度を下げるだけでなく、地域全体の観光消費機会の損失にもつながっています。

ISSUES

想定された課題

福岡の人気観光地である「ももちエリア」は地下鉄西新駅から徒歩約20分、「海の中道」や糸島の海岸エリアは車がないと行けません。ホテルが独自にレンタサイクルを導入する場合、鍵の管理、メンテナンス、保険など本業とは異なる業務が多く発生します。

さらに、せっかく紹介した飲食店も「予約が必要」「言葉が通じるか不安」という理由で訪問されないケースも多く、地域の隠れた名店があっても、そこまでの導線を作るのは難しいのが現状でした。

APPROACH

実行の方針

  • ホテルの既存業務(観光案内)の延長として導入できる設計
  • 地域の案内をデジタル化するとともに、移動手段の提供を一気通貫のシステムで提供
  • 地域の飲食店・観光施設にも新規顧客をもたらすエコシステム

IMPLEMENTATION

実行した内容

ホテルの観光案内をプラットフォーム化

フロントの紙の観光マップをベースに、デジタル観光案内を作成。専用で開発した自転車専用のナビゲーションでの最適ルート、所要時間、営業時間などを表示。将来的には、アプリから直接飲食店の予約、観光施設のチケット購入も可能にする計画です。

スマートバイクによる運営効率化

THE LUIGANS様では、オランダ発のスマートバイク「VanMoof」を採用。スマートロック機能によって、スマートフォンひとつでデジタルマップと自転車の解錠施錠が完結します。

アプリのイメージ

導入ホテルの拡大に向けた開発

VanMoofでの実証実験で得た知見を活かし、現在はより多くのホテルで導入可能な新モデルを開発中です。高級リゾートホテルだけでなく、ビジネスホテルや中規模ホテルでも運用しやすい、扱いやすさとコストパフォーマンスを両立したモデルを目指しています。

地域経済への貢献モデル

現在はレンタル料金のみですが、将来的には予約手数料や送客手数料も含めた収益モデルを構築予定。ホテルには付加価値向上と収益化、飲食店には新規顧客獲得、観光客には言語の壁を越えた快適な体験を提供するエコシステムを目指します。

アプリのイメージ

THE LUIGANSでの実装と検証

THE LUIGANSは、海の中道という絶好のサイクリングロケーションにありながら、周辺の志賀島、マリンワールドなどへの公共交通が限定的という、まさに福岡の観光課題を体現する立地でした。2022年8月から実証実験を開始。このデータを基に、次フェーズでは周辺飲食店との連携を強化する予定です。

RESULT

成果

導入後、「Vikerを利用したい」ことが宿泊体験の選択の一つになるケースもあるようで、一定の顧客満足を提供できています。宿泊客の行動範囲が広がり、これまで知られていなかった地域の店舗への訪問増加が期待されます。

弊社が運営するREPAIR CAFE FUKUOKAによる定期的なメンテナンスにより、大きな故障などもすべて自社で対策し、Eバイク特有のメンテナンスの問題も解決しながらサービス提供が続いています。

FUTURE

今後

次のフェーズでは、アプリ内での飲食店予約機能を実装予定。多言語対応により、外国人観光客も気軽に地域の名店を予約できる仕組みを構築します。また、より幅広いホテルで導入可能な新型Eバイクの展開により、高級リゾートホテルからビジネスホテルまで、さまざまなカテゴリーのホテルへサービスを提供していきます。

MESSAGE

弊社から

福岡の観光課題は、多くの観光都市が抱える問題でもあります。観光スポットは魅力的でも、そこまでの移動手段があれば、と思うシーンはどの地域でも発生します。

私たちSWANOIRは、「人手でやってきたこと」の価値にシステムから新しい光を当てることに注力してきました。Vikerも同じです。ホテルのフロントスタッフが紙の地図を広げて説明してきた観光案内。この「人の温かみ」を否定するのではなく、テクノロジーと移動手段を統合することで、その価値を最大化する。それが私たちのアプローチです。

THE LUIGANS様でのサービスでは高級スマートバイクを使用していますが、この経験を活かし、現在はより多くのホテルで導入しやすいモデルを開発中です。重要なのは、これが「新しい業務」ではなく「既存業務のアップグレード」であること。

現在、全国のホテルから問い合わせをいただいています。各地域・各ホテルの特性に合わせたカスタマイズを行いながら、日本の観光をもっと便利に、もっと深く楽しめるサービスへと成長させていきます。観光の回遊性向上は、地域全体の活性化につながる。それがVikerの目指す未来です。