OVERVIEWS
案件の概要
自社ウェブサイトのCookie同意画面を、ブラウザ体験の一部として設計してみました。Cookie同意画面は多くの訪問者にとって正直なところ、邪魔な存在ではないかと思いますが、これを訪問者の読む姿勢を調整する「助走」として機能させよう、という取り組みです。
わずか数時間の作業ですが、IPアドレスを活用したアニメーション、正直な説明文、そしてGDPR準拠の実装により、コンプライアンス対応とブランド体験を両立させようという試みで、弊社のサイトに実装しています。
BACKGROUND
案件の背景
ウェブのアプリケーションについては、以前から2つの課題がありました。1つ目は、特にウェブサイトにおいて、訪問者とのコミュニケーションに「助走」が欲しいということです。いきなりHeroセクションでメッセージを打ち出すのは唐突で、訪問者の心の準備が整っていない場合も多い。本編に入る前のトーンセッター、いわば前座が必要だと感じていました。
2つ目は、従来のCookie同意画面への違和感です。「快適なブラウジング体験のため」等といった建前の文章、分かりづらい説明、工夫のないデザイン。どこのサイトでもトップページやランディングページには相応に力を入れているはずですが、その半分をクッキー同意のポップアップに奪われてしまいます。
しかし、Cookie同意画面は、導入すれば、どのサイトでも最初の接点になってしまいます。であれば、この場所をコミュニケーションの「助走」として機能させることはできないか。2つの課題を統合できないか。これが今回の設計の出発点でした。
日本ではGDPR対応は努力義務レベルです。そのため、「海外展開」を謳う企業でも、英語モードでも未対応であったり、「欧州が過剰過ぎるだけで対応する意味がない」という意見も見受けられます。しかし、私たちは、この「対応すべきか否か」という議論ではなく、どう対応すれば価値になるかという視点で設計を進めました。
IMPLEMENTATION
実行した内容
IPアドレスアニメーションによる遊び
Cookie画面を開くと、最初は「あなたが地球のどこかにいるんだろう」と表示されます。数秒後、IPアドレスを測定し、市レベルで測定した場所(例:「福岡にいるんだろう」)に変わります。これは、多くのユーザーが反射的にAcceptかRejectを即断して押しているであろう、との仮定のもと、少しでも読もうと思うきっかけになれば、という機能です(狙い通り機能するかどうかわからないですし、怖くてこれで閉じてしまう人がいるかもですが)。

正直な説明文
私たちが書いた説明文は、日本企業では比較的珍しい内容だと思います。また、クッキーについて技術的に正確だが難解な言葉選びではなく、どのような方にも伝わるように工夫してみました(努力義務だからこそできる自由なのかもしれません)。広告に関するトラッキングについては、「主に弊社のため」と明記することにしました(というより、顧客のためになる、という理由が思いつきませんでした)。ただ、広告測定には協力して欲しいのも本音ですので、「私たちは広告が多い会社ではないので、『すべて承諾』を選んでも、ご迷惑はかけないと思います」と素直に書いてみました。

3段階の情報設計
「詳細設定」については、GDPRの準拠を重視しました。「訪問データ」と「マーケティングデータ」を個別に選択でき、デフォルトは両方オフにしています。これはGDPRの要求ですが、一部の企業では「GDPR対応」と謳いながら、デフォルトでオンにされているケースも見受けられます。

RESULT
成果
自社のウェブサイトですので、あまり積極的にデータを取っていませんが、他社の従業員さんから一度フィードバックを受けました。「初めてこの同意が何なのか理解できた。わかりやすく、丁寧。こういう会社ってきっと面白いサービスやってるんだろうな、と思う」。弊社のことを知っている方なので、全員に当てはまる感想ではないですが、Cookie画面という最初の接点で、訪問者の読む姿勢に何らかの変化はあったものだと理解しています。
本件は「GDPR対応 vs UX」という対立構造を無効化する取り組みでもあります。コンプライアンス対応でありながら、ブランド体験を向上させる。制約を価値に変えるちょっとした工夫です。

MESSAGE弊社から
今回、Cookie画面で表現した「助走」というコンセプトは、Cookie画面に限らず、アプリケーション全体の体験設計に応用できます。訪問者がどういう姿勢やコンテクストでコンテンツを読み、機能を利用するのか。最初の接点で、どう心を開いてもらうか。こうした視点は、特にBtoBサイトやサービスサイトで重要になります。
弊社は知名度の低い会社なので、「Honest Marketing」と呼ばれる正直路線を採用していますが、これは会社の性格によって変わるべきなのかもしれません。情熱的なファンを持つブランドがある会社なら、「黙ってAccept!」のようなメッセージの方が合っているかもしれない。大事なのは、その会社らしさを、細部まで一貫して表現することだと考えています。
弊社ではこのようなGDPR対応を始め、AIモードへの対応など、次世代のWebマーケティングに求められる内容に幅広く対応しています。

