SWANOIR
九州電力駐車場のEV-HooK
みらいパーキング移設前の充電器

みらいパーキング EV充電器リプレイス

駐車場の充電器運用を見直したEV-HooK導入事例

WHAT

福岡市中心部の時間貸し駐車場「みらいパーキング」で、EV充電器のリプレイスと課金システム「EV-HooK」の導入を行いました。この駐車場では25kW急速充電器が2台、通電1時間制限・無料で提供されていました。充電器が3車室分を占有していたこともあり、故障をきっかけに充電器自体の撤去が検討されていました。問題は充電器の故障だけではありませんでした。無料提供による長時間占有によるトラブルもあったようです。加えて、DC急速充電器の昼間稼働でデマンド値が上がり、基本料金が膨らんでいましたが、そのコストは共用部の電気代に埋もれて正確に把握できていない状態でした。そこで、25kW急速充電器から8kW普通充電器への変更と、自社開発の課金システム「EVHK-CORE」の導入を行いました。充電器を駐車場運用の「従」として位置づけ直し、駐車場事業としての収益性を改善する設計です。

HOW

充電器の選定:滞車時間から逆算する

世の中ではEV充電器の出力競争が続いています。しかし、カタログ上の出力が2倍になっても、充電時間が半分になるわけではありません。そして、そもそも充電の短時間化がすべての設置場所で求められているわけでもありません。この駐車場の利用者は「充電しに来ている」のではなく「駐車しに来ている」。平均滞車時間は2〜3時間。であれば、8kW×3時間=24kWhで実用上十分な充電量が確保できます。急速充電器が必要なのは、ガソリンスタンドや高速道路SAのように「充電だけが目的」の場所です。駐車場には駐車場の設計があります。

コスト構造の整理:見えていなかった電気代

多くの駐車場では、EV充電の電気代が共用部の電気代に混在しています。DC急速充電器を昼間に稼働させるとデマンド値が上がり、契約電力の引き上げを通じて基本料金が数万円〜数十万円単位で増加しますが、その負担が正確に把握されていないケースは珍しくありません。今回、コンフィギュレーターで電気料金の試算を行い、充電にかかる実コストを可視化しました。DC→ACへの変更によりデマンド値が大幅に下がり、既存電源設備をそのまま活用することで工事費も抑制しています。

課金システム「EVHK-CORE」の導入

無料提供をやめるだけでは、長時間占有の問題は解決しません。一般的な課金システムは「通電時間」や「通電量」で課金しますが、充電が終わった後もプラグを繋いだまま車室を占有するケースには対応できません。EVHK-COREは「充電器の占有時間」を管理します。通電中と休止中で別々の課金を設定できるため、充電完了後の長時間占有を抑制する仕組みが組み込まれています。アプリのインストールや事前登録は不要で、SMS認証による後払い方式です。

満空情報のオンライン表示

立体駐車場でのEV充電器は、現地まで行かないと利用状況がわかりません。駐車料金を払って上がったら充電器が使えなかった、という事態は利用者にとって大きなストレスです。EVHK-COREは、プラグの物理的な状態を検知して満空情報を外部にオンラインで公開します(特許取得済み)。一般的なシステムでは「通電が終わった=空き」と表示しますが、実際にはプラグが繋がったまま充電器が使えない状態でも「空き」になってしまいます。EVHK-COREは、プラグが充電器に戻されるまで「利用中」と表示するため、利用者は現地に行く前に正確な状況を確認できます。

車室の増設

充電器のコンパクト化により、充電器が占有していた3車室のうち1台分を一般車室として復活させました。駐車場としての収益性向上に直結しています。

駐車場のEV充電器は急速と普通、どちらが適切ですか?
EV充電器は出力によって普通充電器(10kW未満)と急速充電器(10kW以上)に区分されます。「急速」というとかなりの速さを連想しますが、出力は10kWから250kW程度までかなり大きな幅があります。充電器設置では、この区分ではなく、具体的な出力の大きさを利用者の滞在パターンと設置場所の電力環境で決めていくことが推奨されます。みらいパーキングでは、平均滞車時間2〜3時間に対して8kW普通充電器を選定し、滞在中に実用十分な充電量を確保しています。
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WHY

この案件で一貫していた判断基準は「ここは駐車場である」ということです。充電器の性能や出力ではなく、駐車場の利用実態から設計を始めました。滞車時間が2〜3時間なら、その時間で必要十分な充電ができればいい。充電器は駐車場運用の「従」であり、駐車場事業の収益性が「主」です。25kW→8kWへの変更は、スペックだけ見れば「ダウングレード」です。しかし、駐車場の実態に照らせば、過剰な設備を適正な設備に変えただけのことです。結果として、基本料金の削減、車室の増設、課金による収益化が同時に実現しました。