WHAT
電子廃棄物を素材にしたアート作品を、バーニーズ ニューヨーク銀座本店と福岡店で販売する。言葉にすると単純ですが、「高単価の現代アートを、アートギャラリーではない商業空間で売る」には、作品を置くだけでは足りないことがいくつもありました。IoT事業で電子機器を扱う中で、電子廃棄物を出す当事者として長坂真護氏と出会い、アート事業を本格化させたい株式会社バーニーズ ジャパンと繋ぐ役割を担いました。イベントのオーガナイズ、作品選定への助言、店内動画の制作、販売戦略の立案を通じて、銀座本店・福岡店での作品展をサポートしています。
HOW
購入に意味付けがあるオペレーション設計
現代アートの高単価の取引は、「うさんくさい」か「投資商品」に見えかねないリスクをはらんでいます。店舗側と相談を重ねながら、「高いものを買った」ではなく「なぜこれを選んだか」が購入者の中で自然に成立するオペレーションを設計しました。例えば、購入された作品が会社のエントランスに置かれたとき、それがその企業の価値観を表現するものになる。そういう文脈を、接客の流れの中で渡せる状態を作っています。
ショーウィンドウへの展開
バーニーズ ニューヨークのショーウィンドウは、ブランドの顔とも言える空間です。銀座本店・福岡店ともに、このショーウィンドウに長坂氏の作品が展開されました。両店のショーウィンドウにはSWANOIRへのSpecial Thanksも掲示されています。
店内動画コンテンツの制作
来店者が作品の背景を理解できるよう、店内で流す動画コンテンツを制作しました。ガーナ・アグボグブロシーの現実と長坂氏の制作風景を伝えつつ、バーニーズ ニューヨークと長坂氏の双方のブランドイメージを損なわない構成にしています。
2都市での展開最適化
銀座本店では本格的なアート展として、福岡店では地域に根ざしたアプローチを重視。それぞれの顧客層と店舗に合わせ、展示構成とコミュニケーションを調整しました。福岡ではLUIGANSでのシネマナイト・特別会も集客施策として活用しています。


WHY
現代アートの販売には独特の難しさがあります。「なぜこの価格なのか」「資産価値はあるのか」という疑問は必ず出ますし、ましてガーナの電子廃棄物という素材は、ラグジュアリー空間との距離が遠い。丁寧に扱わなければ、善意の押し売りにも見えかねません。一方で、購入される方の動機は「高いものを買うこと」ではありません。金額ではなく、選択の質に自分の価値観が反映されていることがラグジュアリービジネスの肝のひとつであると考えています。ガーナの電子廃棄物から生まれたアートを選ぶということが、社会に対する姿勢の表明になる。その文脈が自然に成立する状態を作ることが、このプロジェクトの判断の軸でした。派手な仕掛けではなく、店舗との地道なオペレーション設計と、映像を通じた文脈の提供。やったことはシンプルですが、ここを外すとアートは商業空間では売ることは難しいと考えています。
